「電気工事士って、仕事がきつい割に給料が安くない?」
これから電気工事士を目指す人だけでなく、すでに働いている人でも、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
私自身、電気工事の現場で働いてきて感じるのは、電気工事士は「稼げない仕事」ではないものの、勤める会社や仕事内容によって収入にかなり差が出る仕事だということです。
同じ電気工事士の資格を持っていても、会社が変われば給料や賞与、残業、休日などの条件は変わります。
また、経験を積んで施工管理へ進む、資格を増やす、転職する、独立するといった選択によっても収入は変わってきます。
この記事では、電気工事の現場で実際に働いてきた経験を交えながら、
- 電気工事士の年収は本当に低いのか
- 実際に働いて感じる給料事情
- なぜ同じ電気工事士でも年収に差が出るのか
- 電気工事士が年収を上げるにはどうすればいいのか
を解説します。
これから電気工事士を目指す人はもちろん、「今の給料のままでいいのかな」と感じている現役の電気工事士にも参考になればと思います。
電気工事士の年収は低い?【結論】
結論からいうと、電気工事士は決して年収が低い職業ではありません。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、電気工事士の全国年収は628.1万円となっています。
一方、国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円です。
調査方法や対象が異なるため単純比較はできませんが、少なくとも統計だけを見ると、電気工事士が特別に低収入な職業とはいえません。
ただし、これはあくまで全国の統計です。
実際の電気工事士の収入は、会社・地域・経験・資格・残業・仕事内容などによって大きく変わります。
私自身、地方で電気工事の仕事をしてきましたが、「電気工事士ならみんな年収600万円以上」という感覚はまったくありません。
そのため、電気工事士の年収を見るときは、平均額だけではなく「自分と同じ地域・経験・資格ならどのくらいなのか」を見ることが大切だと思います。
電気工事士の年収はなぜ人によって差が大きいのか
ただし、この628.1万円という数字を見て、
「電気工事士になれば600万円以上もらえる」
と考えるのは少し違うと思います。
私自身、地方で電気工事の仕事をしてきましたが、全員がこのくらいの年収をもらっているという感覚はありません。
特に電気工事士は、会社や地域、経験、資格、残業、休日出勤などによって年収に大きな差が出ます。
また、同じ「電気の仕事」でも、
- 一般住宅を中心に施工する会社
- ビルや工場などの大型物件を扱う会社
- 下請け中心の会社
- 元請けとして工事を受注する会社
- 電気工事だけでなく施工管理まで担当する会社
など、働き方はかなり違います。
当然、仕事内容が違えば給料も変わってきます。
地方で働いてきた私が感じる年収のリアル
私が実際に電気工事の現場で働いてきて感じるのは、「電気工事士」という職業だけで年収を判断するのは難しいということです。
若いうちや経験が浅いうちは、それほど給料が高くない会社もあります。
一方で、経験を積んで仕事を任せてもらえるようになったり、資格を取得したり、施工管理までできるようになったりすると、収入を上げられる可能性があります。
だから私は、
「電気工事士は年収が低いか?」よりも、「今いる会社で自分の経験や資格に見合った給料をもらえているか?」を見ることの方が大切
だと思っています。
同じ経験や資格を持っていても、会社が変われば給料や賞与、休日などの条件が変わることもあります。
電気工事士の年収が低いと言われる3つの理由
平均年収だけを見ると、電気工事士は決して給料の低い仕事ではありません。
それでも「電気工事士は給料が安い」「仕事の割に稼げない」と言われることがあります。
私自身、実際に現場で働いてきて、そのように感じる理由は大きく3つあると思っています。
① 経験が浅いうちは給料が上がりにくい
電気工事は、資格を取ったからといってすぐに一人前になれる仕事ではありません。
第二種電気工事士などの資格を取得しても、それはあくまでスタートラインです。
現場では、
- 工具や材料の名前を覚える
- 図面を読めるようになる
- 配管・配線・結線を覚える
- 他業種との作業調整を覚える
- 現場ごとの施工方法を覚える
など、資格試験だけでは身につかないことをたくさん覚える必要があります。
私も電気工事の仕事を始めたころは、資格があっても分からないことばかりでした。
経験が浅いうちは補助的な仕事も多く、会社によってはなかなか給料が上がらないことがあります。
② 仕事内容に対して給料が安いと感じやすい
電気工事は決して楽な仕事ではありません。
夏の暑い現場もあれば、冬の屋外作業もあります。
高所作業や狭い天井裏での作業、重いケーブルを扱うこともありますし、重機が入れない場所では自分たちで穴を掘ることもあります。
さらに、電気を扱う以上、感電などの危険にも注意しなければなりません。
こうした仕事をしていて給料がそれほど高くなければ、
「これだけ大変なのに、この給料なのか」
と感じる人がいるのは当然だと思います。
電気工事士の「給料が安い」という不満は、金額そのものだけではなく、仕事内容や責任に対して給料が見合っていないと感じることも大きいのではないでしょうか。
③ 同じ電気工事士でも会社によって給料に差がある
私が特に大きいと思っているのが、勤める会社による違いです。
同じ電気工事士でも、会社によって扱っている工事や立場が違います。
住宅工事が中心の会社もあれば、工場、ビル、公共工事などを扱う会社もあります。
元請け中心なのか下請け中心なのかによっても違います。
また、
- 基本給
- 資格手当
- 残業代
- 賞与
- 休日数
- 退職金
などの待遇も会社によってかなり違います。
そのため、経験や資格が増えているのに給料がほとんど変わらない場合、本人の能力ではなく、会社の給与体系が原因になっている可能性もあります。
長く同じ会社にいると、自分の給料が高いのか安いのか分からなくなることもあります。
だからこそ、今すぐ転職するつもりがなくても、たまに他社の求人を見て、自分と同じくらいの経験・資格を持つ人がどのくらいの条件で募集されているのか確認してみるのは意味があると思います。
電気工事士は経験を積めば年収アップを狙える
ここまで読むと、
「やっぱり電気工事士は大変な仕事なのでは?」
と思うかもしれません。
ただ、私は電気工事の仕事を続けてきて、経験や資格を積み重ねることで収入を上げていける仕事でもあると感じています。
資格だけでなく「できる仕事」が増えると強い
電気工事は経験によって、できる仕事が増えていきます。
最初は先輩について作業していた人でも、経験を積めば、
- 図面を見て施工方法を考える
- 必要な材料を拾い出す
- 一人で作業を任される
- 後輩や作業員へ指示を出す
- 現場の工程を考える
- 他業種と打ち合わせをする
といった仕事まで担当できるようになります。
単純に「電気工事士の資格を持っている」というだけではなく、どこまで仕事を任せられるかが重要になってきます。
私自身も、電気工事の仕事から経験を積み、現在は施工管理・現場代理人の仕事をしています。
電気工事士から施工管理になった経緯については、「電気工事士から施工管理になった話」に詳しくまとめています。
職人として施工する側と、施工管理として現場を管理する側では仕事内容が大きく違いますが、電気工事の現場経験は施工管理でも非常に役立っています。
施工管理という選択肢もある
電気工事の経験を活かして収入を上げたい場合、施工管理へ進む方法もあります。
施工管理では、実際の施工だけではなく、
- 工程管理
- 品質管理
- 安全管理
- 原価管理
- 発注者や他業種との打ち合わせ
- 書類作成
なども担当します。
その分、責任も大きくなります。
私は職人と施工管理の両方を経験していますが、「収入だけを考えて施工管理になればいい」とは思っていません。
施工管理には施工管理なりの大変さがあります。
実際に施工管理を経験して感じた大変さについては、「電気施工管理はきつい?40代電気工事士が本音で解説」で詳しく書いています。
ただ、電気工事の経験を活かしながらキャリアの幅を広げられる選択肢の一つではあります。
電気工事の需要は今後も続くと考えている
電気は住宅、ビル、工場、公共施設など、さまざまな建物に必要です。
さらに設備の更新や省エネ化、再生可能エネルギー、EV関連設備など、電気工事が必要になる分野は広がっています。
一方、電気工事には資格が必要な作業もあり、経験のある人材を短期間で育てることは簡単ではありません。
実際に現場で仕事をしていても、人手不足を感じる場面は少なくありません。
だから私は、電気工事士は「誰でも簡単に高収入になれる仕事」ではありませんが、資格と実務経験を積み重ねることで、自分の市場価値を上げていける仕事だと考えています。
電気工事士が年収を上げる4つの方法
電気工事士として年収を上げたい場合、単純に長く働いていれば給料が上がるとは限りません。
私自身、電気工事の仕事を続けてきて、収入を上げるには大きく4つの方法があると考えています。
① 資格を取得してできる仕事を増やす
まず考えたいのが資格取得です。
電気関係の仕事には、
- 第一種電気工事士
- 1級・2級電気工事施工管理技士
- 第三種電気主任技術者
- 消防設備士
など、仕事の幅を広げられる資格があります。
ただし、資格は「たくさん持っていればいい」というものでもありません。
自分が働いている会社や、これから進みたい仕事で必要とされる資格を取得することが大切です。
資格手当が付く会社もありますし、資格と実務経験の両方があれば、転職するときの選択肢も増やしやすくなります。
② 電気工事から施工管理へ進む
電気工事の現場経験を活かして、施工管理へ進む方法もあります。
施工管理になると、実際の施工だけではなく、工程・品質・安全・原価など、工事全体を管理する立場になります。
私自身も電気工事の仕事を経験した後、現在は施工管理・現場代理人の仕事をしています。
職人時代の経験があることで、図面だけでは分からない施工上の問題に気づけることもあります。
一方で、施工管理は責任が大きく、書類作成や打ち合わせなども増えます。
そのため、誰にでもおすすめできる働き方ではありません。
「給料が上がりそうだから」という理由だけではなく、自分に仕事内容が合っているかも考えて選ぶことが大切だと思います。
③ 給料が上がらないなら会社を変える
資格を取得し、できる仕事が増えているのに給料がほとんど上がらない場合は、転職も選択肢になります。
これは私が電気工事の仕事をしてきて強く感じていることですが、同じ電気工事士でも会社によって待遇はかなり違います。
基本給だけではありません。
- 賞与
- 資格手当
- 残業代
- 年間休日
- 退職金
- 施工する工事の規模
- 職人から施工管理へのキャリア
などにも違いがあります。
そのため、今の会社だけを基準にして、
「電気工事士なんてどこへ行っても給料は同じ」
と考える必要はありません。
もちろん、すぐに会社を辞める必要もありません。
まずは求人を見て、自分の年齢・資格・経験なら他社でどのくらいの条件になるのかを知るだけでも意味があります。
今の会社の待遇が良いのか悪いのかも、比較して初めて分かることがあります。
④ 経験と人脈があれば独立も選択肢になる
電気工事では、経験を積んで独立する人もいます。
会社員とは違い、自分で仕事を受注できれば収入を大きく伸ばせる可能性があります。
一方で、
- 仕事を取る
- 見積りをする
- 材料を手配する
- 請求・経理をする
- 取引先との関係を作る
といった施工以外の仕事も自分で行う必要があります。
そのため「独立すれば必ず稼げる」というわけではありません。
ただ、電気工事を続けていると、元請け会社や他業種、同業者などとのつながりが増えていきます。
十分な経験と人脈ができた段階で、独立という働き方を考えるのも一つの選択肢だと思います。
まずは自分の「今の市場価値」を知ってみる
年収を上げたいからといって、すぐに転職したり独立したりする必要はありません。
まずやってみてほしいのは、自分と同じような資格・経験を持つ電気工事士が、他社ではどのくらいの給料で募集されているのかを調べることです。
例えば、
「第一種電気工事士・経験10年」
「第二種電気工事士・経験5年」
「1級電気工事施工管理技士・施工管理経験あり」
など、自分に近い条件の求人を見てみます。
今より条件の良い求人が多ければ、現在の給料が低い可能性があります。
逆に、今の会社の条件が良いと分かることもあります。
転職するかどうかを決めるのは、その後で十分です。
まず自分が電気業界でどのくらいの条件で評価されるのかを知っておくことが、年収を上げる第一歩だと思います。
まとめ|電気工事士は会社・資格・経験で年収に差が出る
電気工事士は「給料が安い仕事」と言われることがありますが、必ずしもそうとは限りません。
この記事で紹介してきたように、電気工事士の年収は、
- 勤めている会社
- 地域
- 経験年数
- 保有資格
- 担当できる仕事内容
- 残業や休日出勤
- 職人として働くか施工管理へ進むか
などによって大きく変わります。
私自身、電気工事の現場で働き、その後施工管理・現場代理人まで経験してきました。
その経験から感じるのは、電気業界は経験を積んで「できる仕事」を増やすことが、自分の価値につながりやすい業界だということです。
資格を取得することも大切ですが、資格を取ったうえで実務経験を積み、任せてもらえる仕事を増やしていくことが重要だと思います。
一方で、経験や資格が増えているにもかかわらず、給料や待遇がほとんど変わらない場合もあります。
その場合は「電気工事士だから給料が安い」と諦める前に、今の会社の待遇が自分の経験や資格に見合っているのかを一度考えてみてもいいと思います。
今の給料に疑問を感じているなら、まずは資格を増やすことだけでなく、他社の求人や待遇も確認し、自分の経験がどのくらい評価されるのかを知るところから始めてみてください。


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